ベビーシッターを頼む決断をしたご家庭にとって、「子どもがシッターさんになつかない」という状況は、非常に悩ましい問題です。子どもの性格は人それぞれですので、最初から打ち解けて楽しく遊ぶ子もいれば、泣いて拒否したり、極端に警戒する子もいます。
では、なぜ子どもがなつかないのか? その原因はシッターさんにあるのでしょうか。それとも子どもの性格や環境の影響? 今回は、子どもがベビーシッターになつかない理由を多角的に分析しながら、具体的な解決策をご紹介します。
「なつかない」は子どもにとって自然な反応
まず理解しておきたいのは、「人見知り」や「警戒心」は子どもの正常な発達の一部だということです。特に1〜3歳ごろの幼児期は、親以外の人との距離感を探る大事な時期であり、「知らない人=不安」「ママじゃない=イヤ」と感じるのはごく自然なことです。
また、ベビーシッターという存在は「ママやパパと離れる時間を生む人」と認識されやすく、分離不安の強い子にとっては“敵”のように映ってしまうこともあります。
覚えておきたい親の心構え
- 「なつかない=失敗」ではなく「時間が必要」と受け止める
- 無理に仲良くさせようとせず、見守る姿勢を持つ
- シッターとの関係は“初対面の大人との関係づくりの練習”と考える
子どもがシッターになつかない理由とは?
子どもがシッターに心を開かない理由は一人ひとり異なりますが、主な原因は以下の通りです。
(1) 初対面の不安
顔も声も知らない人といきなり数時間過ごすのは、大人でも緊張します。状況がうまく理解できない子どもにとってはなおさら初対面の不安は大きいでしょう。
(2) 親の不安が伝染している
意外に大きな要因となっていることが多いのが「親の不安」です。親の表情や態度が「この人、大丈夫かな…」と心配していると、子どもはそれを敏感に察知します。子どもは親の“安心していいサイン”を頼りにしています。
(3) 相性やテンポのズレ
子どもの性格とシッターの対応スタイルが合っていない場合、距離が縮まりにくくなります。おとなしい子にハイテンションで話しかけすぎる、逆に活発な子に静かすぎる対応をする、なども原因に。この問題については会ってみないとわからない部分も大きいですが、事前に子どものタイプを伝えて合いそうなシッターさんを選んでもらうというのも重要になります。
(4) 言語・文化的ギャップ(外国人シッターの場合)
近年、外国人のベビーシッターの方も増えてきました。外国人ベビーシッターにお願いした場合、言葉の違いや表情・ジェスチャーの微妙な違いに戸惑っていることもあり得ます。ただこのギャップについては必ず回数を重ねるごとに慣れてきますので、様子を見ることも大切です。
なつくための「心の準備」を整える方法
では、どのようにすれば子どもが少しずつシッターに心を開くようになるのでしょうか?鍵となるポイントは「段階的な慣れ」「安心感の共有」「成功体験の積み重ね」です。
ステップ①:親と一緒に過ごす“慣らし時間”を設ける
初日は親が同席しながら、短時間の保育を一緒に体験することをおすすめします。子どもが安心できる環境で「この人と一緒にいても大丈夫」と感じることがまずは第一歩です。
ステップ②:親が積極的にシッターと会話する姿を見せる
子どもは親の行動を思った以上によく見ています。親が笑顔で話し、シッターさんを信頼している姿を見せることで、子どもも安心することができます。大人同士の関わりを積極的に見せて「敵ではない」ことを子どもに理解してもらいましょう。
ステップ③:好きなおもちゃ・絵本を介して関わらせる
“好きなもの”は子どもにとっての安全地帯です。まずはシッターさんとお気に入りのぬいぐるみや遊びを通して自然な関係性を築くのがおすすめです。特にお気に入りのおもちゃがある場合は「シッターさんとだけ」そのおもちゃで遊べるように準備しておくと子どもは慣れやすくなります。
ステップ④:短時間からスタートし、徐々に伸ばす
シッティングの時間について、最初は30分〜1時間程度から始めることをおすすめします。短時間から徐々に時間を延ばしていくことで、子どもの警戒心が薄れやすくなります。
どうしても合わない…と感じたときの対応
どれだけ時間をかけても、どうしても子どもがシッターを受け入れないケースもあります。その場合は「相性が合わなかっただけ」と割り切り、無理に継続させないことも選択肢の一つです。
親のチェックポイント:
- シッティング終了後、子どもが毎回極度に不安定になっている(食欲低下・睡眠障害など)
- シッティングを数回経ても、シッターとのやり取りにストレスを感じている様子がある
- 明らかに信頼関係が築けていない
このような場合、別のシッターに変更する、または一度期間を空けるなどの判断が必要です。どうしても人間同士の付き合いでは相性がありますので、別のシッターに変更するときも遠慮する必要はありません。
親子関係が変わるきっかけにもなる
「なつかない問題」は、実は親にとっても学びのチャンスです。子どもが“他人”とどう関わるのか、どんな不安を抱えているのかを知ることで、親子のコミュニケーションのあり方にも気づきが生まれます。
また、親が「自分以外の人に子育てを任せること」に不安を感じているなら、その感情とも丁寧に向き合ってみましょう。子育てに“ひとりで完璧”は必要ありません。信頼できるサポーターを見つけることで、親自身の余裕も生まれ、子どもにとっても良い循環になります。
